基本は「Z字」布団のたたみ方
かつて、布団のたたみ方は日本人の常識でした。小さな子供でも毎朝自分で布団をたたんでいましたから、わざわざ覚えるまでもなく自然と身についていたのでしょう。ところがここ30~40年ほどのあいだにベッドが普及したことで、今では日ごろ布団をまったく利用しない日本人も増えました。旅館に行ったときぐらいしか布団を使わないという人も多いのではないでしょうか?
とはいえ、やはり日本に生まれたからには、正しい布団のたたみ方を知っておくことは基礎教養のひとつです。あらためて、布団のたたみ方をおさらいしていきましょう。
まず、大原則となるたたみ方は「Z字」です。敷布団の上端か下端かのどちらか一方を持って三つ折りにたためば、自然と「Z字」に折りたたまれるはずです。その上に、同じサイズになるようにたたんだ掛け布団や毛布などを置き、いちばん上に枕を置きます。これさえ覚えておけば、基本的に恥をかくことはないはずです。
それではなぜ二つ折りでも四つ折りでもなく三つ折りなのかというと、これは単なる住宅事情の問題です。昔から日本家屋の押し入れは、布団を三つ折りにしたときにちょうどキレイに収まるようにできているのです。また、昔の日本の住宅はとても狭かったですから、少しでも小さく折りたたむことで居住スペースを確保しようという理由もありました。
ですから、Z字に折りたたむことが最も傷みにくいとか、雑菌の繁殖を防げるとか、そうした科学的な理由があるわけではありません。布団のたたみ方は衛生面や手入れの面から決まっているわけではなく、どちらかというと「マナー」や「生活の知恵」の問題だといえるでしょう。
ただし、少しでも布団を長持ちさせるための工夫はいくつか考えられます。たとえば、「布団の向きを変える」というお手入れを推奨している布団メーカーも少なくありません。というのも、実は日本の敷布団は、上下も裏表も区別されていないからです。いつも同じ向きでばかり使用していると、どうしても特定の部分だけに負担がかかって傷みやすくなってしまいます。そこで、定期的に上下や裏表を入れ替えて使うようにすると、布団の寿命が伸びるというわけです。
布団の寿命を延ばすためには布団選びが重要となります。詳細は『長く使える!長寿命の敷布団の選び方』をご覧ください。
また、布団をたたむタイミングについてもわずかな工夫が布団の寿命につながります。朝起きると、ついついすぐに布団をたたみたくなってしまいますが、本当は少し時間をおいてからたたむほうが理想的です。というのも、起きたばかりの布団には熱がこもっているため、雑菌が繁殖しやすくなっているからです。出かける準備をひととおり終えてから布団をたたむようにすると、やはり布団を長く使うことができるでしょう。